日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
臨床研究
肝硬変合併肝性脳症に対するリファキシミンの治療成績
森 奈美髙木 慎太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 25 巻 4 号 p. 238-242

詳細
抄録

肝性脳症は肝硬変における重篤な合併症のひとつである.難吸収性抗菌薬であるリファキシミンは,肝性脳症に対する有効性が示されており,推奨されている.本邦では2016年に保険認可されたが,日本人における実臨床のエビデンスは少ない.そこで,昏睡度II度以上の肝硬変合併肝性脳症患者に対して合成二糖類に3か月以上リファキシミンを併用投与した28例を対象に,リファキシミンの肝性脳症に対する治療成績を検討した.治療開始時における昏睡度はII度14例,III度14例であり,治療開始後3か月目にはI度以下20例,II度7例,III度1例に改善した.治療開始後I度以下に改善した後,II度以上の顕性脳症への累積再発率は3か月25%,6か月29%,12か月46%であった.今回の検討において有害事象を認めた症例はなく,リファキシミンは安全に投与することが可能であり,過去の合成二糖類単独投与の報告と比較して同様の効果の傾向を示した.

著者関連情報
© 2019 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top