日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
Gun-sight techniqueとGoose Neck Snareを用いたEnhanced Snare-TIPS(ES-TIPS)を施行した1例
杉原 英治
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2019 年 25 巻 4 号 p. 243-250

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抄録

高度の食道・胃静脈瘤および多量の胸腹水を有する60歳代女性の肝硬変患者に対し,スネアを用いたEnhanced-Snare TIPSを施行した.手技は,肝内門脈P3を穿刺し,後区域枝にスネアカテーテルを留置.また内頚静脈より中肝静脈にグースネックスネアを留置.この2個のスネアを貫くようにGun-sight positionにて18 G PTCD針にて穿刺した.ガイドワイヤーを挿入し,短絡路をバルーン拡張した上で,ガイドワイヤーを門脈P3および内頚静脈より引き出し,pull-throughとした.短絡路にE-Luminexxステントを留置した.門脈圧は低下,胸腹水は消失,食道・胃静脈瘤は改善した.一時的に肝性脳症を来したが,保存的に改善した.本法はTIPS針が不要で,内頚静脈の様に遠位からでなく肝の周囲で主な手技を行うことができるなどTIPSよりも施行が容易な点もあり,有用な方法と考える.

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© 2019 日本門脈圧亢進症学会
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