日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
Budd-Chiari症候群に対する直達手術71例の検討
稲福 斉國吉 幸男
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2021 年 27 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

Budd-Chiari症候群は,肝静脈流出路の部分的または完全閉塞による血流障害により,肝うっ血から門脈圧亢進症に至る.我々はこれまで71例のBudd-Chiari症候群に対して独自に開発した手術術式を用いて治療を行った.手術は右第6肋間開胸・上腹部正中開腹にて横隔膜を外側1/3部分で弧状に切開し,後方より肝部下大静脈を露出する.大腿動静脈による部分体外循環下に肝部下大静脈を上下で遮断し縦切開する.静脈壁および肝実質を切除し閉塞した肝静脈を可及的に再開通させる.その後肝部下大静脈を自己心膜にてパッチ拡大する.周術期死亡は2例(2.8%)であった.術後平均観察期間は9.7(0.04~29.8)年で,生存率は1年95.6%,5年88.3%,10年71.7%であった.Budd-Chiari症候群に対する我々の術式は,長期生存および術後の肝機能改善が期待される.

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© 2021 日本門脈圧亢進症学会
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