2021 年 27 巻 1 号 p. 58-63
食道静脈瘤に対する内視鏡的治療,特に血管内注入によるEIS(intra-EIS)においては良好なEVISを得ることが重要である.貫通静脈(Pv)の存在を術前に把握することで,治療難渋例の予測につながるが,その存在診断は従来より食道内の脱気水充満(注水法)による細径プローブEUS(UMP-EUS)によって行われてきた.我々は脱気水の代わりに医療用潤滑ゼリーを観察範囲に充填する方法(ゼリー法)を考案した.ゼリー法の利点は観察範囲にゼリーが長くとどまることで,観察条件が安定し術者が手技に集中できることである.このため注水法に比しF1のような小さな静脈瘤でもPvの指摘率が向上した.簡便に行えるゼリー法は食道静脈瘤治療術前診断のためのUMP-EUS手技として有用であると考える.