2021 年 27 巻 2 号 p. 168-173
症例は60歳代男性,主膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍術後の再発に対し化学療法が施行されたが,病勢が進行しベスト・サポーティブ・ケア (best supportive care:BSC) 中であった.フォローCTで胃静脈瘤が指摘され経過観察されていたが,増大傾向および上部消化管内視鏡検査で発赤所見を認めたため治療の適応となった.再発腫瘍により脾静脈が閉塞しており左側門脈圧亢進症に伴う胃静脈瘤と診断し,胃静脈への血流を減少させる目的で部分的脾動脈塞栓術が施行された.その後静脈瘤からの出血なく,1年の生存期間を得た症例を経験したので報告する.