2021 年 27 巻 2 号 p. 174-177
症例は94歳,女性.腹部膨満と便秘,低酸素血症を主訴に当院へ紹介となった.来院後行った腹部CTで多量の腹水貯留を認め,精査加療目的で入院となった.入院後の腹部造影CT検査では肝辺縁は凹凸があり,肝硬変のパターンであり,腹水のほか両側胸水,無気肺も認めた.また,上腸間膜静脈に限局的に2.5 cm大の造影効果を持つ結節があり上腸間膜静脈瘤と考えられた.腹水に対しては細胞診も行うも腫瘍細胞は認めなかった.肝硬変に伴う腹水と診断し利尿剤などの保存的加療にて軽快した.上腸間膜静脈瘤に関しては手術などの侵襲度の高い治療となることが予想され,年齢なども考慮し経過観察の方針となった.