日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
症例報告
傍臍静脈シャントBRTOと肝動脈瘤を介するAPシャントコイル塞栓術が奏功したと思われるC型肝硬変肝性脳症の1例
田上 真中西 孝之荒木 寛司
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 27 巻 2 号 p. 184-189

詳細
抄録

非代償性肝硬変においては様々な合併症が認められる.肝性脳症はその原因として,肝外に門脈大循環シャントの発達を認めることが多い.本症例は門脈大循環シャントとして脾腎シャントと巨大な傍臍静脈シャントを認めた.肝性脳症改善を目的にバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術 (Baloon-occluded retrograde transvenous obliteration) (以下BRTO) を試み,脾腎シャントは施行できず,傍臍静脈シャントに対して施行した.画像上シャントの閉塞や狭細化は認めず閉塞不成功であったが,術後血中アンモニア値も低下し,肝性脳症の改善もみられた.その後の肝動脈造影で肝動脈に肝内動脈瘤を介する肝動脈-門脈シャント (Arterio-portal fistura) (以下APシャント) の存在を認め傍臍静脈シャントの発達の原因と考えた.肝動脈瘤コイル塞栓術を施行し,APシャント血流の低下を認めた.その2週後のCTでははっきりしなかったが,7週後のCTでは傍臍静脈シャントの狭細化を認めた.BRTO後肝性脳症は認めておらず,コイル塞栓術以後はより安定して健在である.

著者関連情報
© 2021 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top