日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
EVIS (endoscopic varicealography during injection sclerotherapy) にて肝内門脈左枝が描出された食道静脈瘤の1症例
古山 準一檜森 亮吾
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2021 年 27 巻 2 号 p. 178-183

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抄録

症例は,58歳,女性.26歳時より,慢性関節リウマチにて前医でTocilizumab,Methotrexateを含む治療中.X-2年9~10月 腹水貯留にて当院に入院.腹水は漏出性であり門脈圧亢進症が考えられたが遠肝性側副血行路は認めなかった.MTXは中止した.X-1年10月 食道静脈瘤を認め,X年5月 食道静脈瘤に対して予防的EIS施行.EVISにて,5%EOIが食道静脈瘤を下行した後,肝内門脈左枝が描出され注入を中止.その後再注入すると肝内門脈左枝の造影が強まり,同時に左胃静脈を下行し門脈本幹への上行が確認され5%EOI注入を中止.後日,肝生検を施行し前肝硬変症 (非B非C型) と診断された.肝内門脈枝より直接食道・胃静脈瘤へ行く側副血行路の報告は稀である.今回,我々は,食道静脈瘤に対するEIS時,肝内門脈左枝が描出された1症例を経験したので報告した.EIS時には注意を要すると考えられた.

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© 2021 日本門脈圧亢進症学会
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