日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
Warshaw手術後の胃静脈瘤の血行動態の3例の検討
河原 大和太田 正之藤永 淳郎多田 和裕河村 昌寛中沼 寛明川﨑 貴秀平下 禎二郎猪股 雅史
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2021 年 27 巻 4 号 p. 292-295

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抄録

Warshaw手術は良性や低悪性度の膵腫瘍を対象とし,脾門部で脾動静脈を切離し脾臓を温存する尾側膵切除術である.術後には高率に胃静脈瘤が発生するが,その血行動態について詳細な検討はなされていない.今回,当科で腹腔鏡下Warshaw手術を施行した3例の血行動態について検討した.平均年齢41歳,男性1例,女性2例で,対象疾患は膵粘液性嚢胞腫瘍2例,膵神経内分泌腫瘍1例であった.3例中2例(67%)にLg-b, F1-2, Cw, RC0の胃体部を中心とした胃静脈瘤を認め,術後平均9.5か月でその存在が示唆された.3D血管構築画像で検討すると,胃静脈瘤の発生した2例では脾臓~短胃静脈~胃壁~左胃静脈の血行路を認めたが,胃静脈瘤が発生しなかった1例は脾門部から後腹膜を走行し脾静脈に交通する血管を認めた.Warshaw手術後の胃静脈瘤発生予防には,膵背側の剥離層を温存することが重要と考えられた.

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© 2021 日本門脈圧亢進症学会
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