日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
COVID-19における内皮細胞傷害と肝障害
近藤 礼一郎矢野 博久岩切 泰子
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2022 年 28 巻 2 号 p. 164-169

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抄録

COVID-19は肺炎に加え肝臓を含む複数の臓器を障害し,肝障害(血中ALT値高値)はCOVID-19の重症度と相関する.しかし,COVID-19で肝障害が起こるメカニズムや肝障害に関わる肝臓の病理組織所見は明らかとなっていない.我々の検討では,高度肝障害(血中ALT基準値上限3倍以上)を有するCOVID-19症例の肝組織には類洞の内皮細胞傷害(endotheliopathy)がみられ,肝類洞への好中球浸潤および微小血栓の形成を認めた.また,肝類洞内皮細胞の傷害と血中IL-6値に関連が示された.本稿では,COVID-19での内皮細胞傷害および肝障害について概説するとともに,COVID-19患者における肝類洞の内皮細胞傷害および微小血栓と肝障害との関連について述べる.

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© 2022 日本門脈圧亢進症学会
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