日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
異所性静脈瘤破裂に対する治療成績
瓦谷 英人増田 泰之芝本 彰彦高谷 広章𠮷治 仁志
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2023 年 29 巻 2 号 p. 134-138

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抄録

近年,異所性静脈瘤が増加してきている.しかし,その治療方針は未だ確立されていない.今回当院での異所性静脈瘤破裂症例に対する治療成績について検討した.静脈瘤の発生部位は十二指腸が6例6病変,術後吻合部が5例9病変,直腸6例20病変,小腸(空腸)が2例2病変,上行結腸1例1病変,ストマが2例3病変の合計22例41病変であった.全例で一時止血を得た.一方,吻合部,直腸,ストマで高率に再出血を来していた.近年緊急出血にてシアノアクリレート系薬剤を用いた内視鏡的硬化療法(HA-EIS)が施行されているが,16例中十二指腸および上行結腸に施行した5例で供血路塞栓を得ており根治治療が可能であった.異所性静脈瘤破裂に対する1次止血効果は良好であり,内視鏡治療を第一選択としてよいと考える.また,排血路が単一である症例でHA-EISにより十分な供血路塞栓を行うことで根治治療となりうる可能性がある.

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© 2023 日本門脈圧亢進症学会
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