2023 年 29 巻 2 号 p. 145-151
症例1は58歳男性.非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変と診断され,2年前に食道胃静脈瘤(EGV)の治療目的で当院に紹介された.食道静脈瘤(EV)に対して内視鏡的硬化療法(EIS),胃静脈瘤(GV)に対してバルーン下逆行性経静脈的塞栓術を施行した.6か月前にEVの再発を認め,2日前より黒色便が出現,EV破裂と考え内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を行った.2日後から発熱し,造影CTにて肝膿瘍を認めた.スルバシリンの点滴静注後レボフロキサシンの内服にて軽快した.症例2は63歳男性.1日前からの黒色便にて当院を受診した.アルコール性肝硬変によるEV破裂と診断し,EVLで止血した.術後より発熱し,スルバシリンの点滴静注を開始した.造影CTにて肝膿瘍を認め,メロペネムに変更後レボフロキサシンの内服にて軽快した.消化管静脈瘤破裂やその内視鏡治療では低くない感染リスクから,臨床症状に応じて膿瘍形成を考慮した画像検査を行い,早期に治療介入することが重要である.