2024 年 30 巻 2 号 p. 166-168
症例は,40代男性,腹部膨満感,下腿浮腫腹部膨満を自覚し徐々に増悪,腹痛も出現したため当科紹介受診.腹部超音波,CTで多量の腹水と,肝内多発腫瘤,縦隔リンパ節腫脹,肺にspiculaを伴う多発腫瘤を認め,横隔膜部の縦隔リンパ節腫脹により肝部下大静脈(IVC)は圧排狭窄し続発性にBudd-Chiari症候群を呈していた.気管支鏡による肺腫瘍生検により進展型肺小細胞癌とそれによる下大静脈症候群(IVCS)と診断した.有症状でありステント留置などのIVRを考慮したが,原発巣は奏功が期待できる小細胞癌であったため薬物療法を開始した.薬物療法開始後,肺癌と縦隔リンパ節転移は縮小しIVCの狭窄は解除し腹水と下腿浮腫は消失した.肺癌に合併するIVCSはまれである.治療として症状改善を目的にIVRによる狭窄解除を検討すべきであるが,原因の癌種によっては原疾患治療の先行も視野に入れるべきと考えられた.