日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
肝硬変合併症に対する肝脾粘弾性測定の有用性に関する検討
西村 貴士榎本 平之飯島 尋子
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2024 年 30 巻 2 号 p. 159-165

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抄録

肝硬変の合併症である食道静脈瘤(EVs)や腹水(AS),肝性脳症(HE)はADLの低下や予後に関連しており,その予測は重要である.そこでshear wave elastography(SWE)と粘性を表すshear wave dispersion(SWD)が肝硬変合併症の診断に有用であるかを検討した.対象は肝SWE 1.83 m/s以上の肝硬変86例とした.肝脾SWE・SWDの相関は肝SWE・肝SWDがr=0.657と最も高かった.またEVs有無では肝脾SWEが,ハイリスクEVs(HR-EVs)有無では脾SWEが,AS有無では肝脾SWEと肝SWDが,HE有無では肝SWE・SWDが有意に高い結果であった.また各合併症のAUROCはEVsとHR-EVs, ASは脾SWEが,HEは肝SWEが最も高かった.肝硬変合併症の予測に肝脾SWEが有用である可能性が示唆された.

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© 2024 日本門脈圧亢進症学会
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