2025 年 31 巻 1 号 p. 38-40
肝移植と門脈圧亢進症との関連について概説した.肝不全状態ではさまざまな程度で門脈圧亢進症を来し,健常肝が移植されることにより理論的には肝不全のみならず門脈圧亢進に伴う胃食道静脈瘤,腹水,肝性脳症なども改善されるはずであるが,期待ほどに治癒しないこともある.特に常に部分肝移植である生体肝移植においては,肝再生が完成するまでは門脈血流が相対的に過剰となりsmall-for-size syndromeを来すため,門脈-大循環シャントなどにより門脈圧を下げる工夫が必要となる.術前からの高度な側副血行路を処理すべきか否か,脾摘出の適応など,他にも議論すべき点があるが,いまだに明確なエビデンスが得られていない部分も多い.本稿では,肝移植の成績改善の一助とするべく,過去の文献などを参考に,周術期の門脈圧亢進症との関連を解説した.