2025 年 31 巻 4 号 p. 211-220
【目的】肝硬変合併門脈血栓症に対し,Xa阻害剤edoxabanの単独投与における有効性,安全性について検討した.
【方法】対象は69例,門脈血栓評価は抗凝固療法開始前,治療開始6か月後,1年後に肝dynamic CTで血栓volumeを測定した.
【結果】抗凝固療法開始前の血栓volume中央値は3.42 cm3で,6か月後,1年後における血栓volumeは0.33 cm3,0.088 cm3で有意な縮小効果を認めた(開始前 vs p<0.001).一方で,出血は20例(29%)に認め,内訳は,胃毛細血管拡張症7例,食道静脈瘤出血4例,小腸毛細血管拡張症2例,直腸静脈瘤1例,消化管出血以外の出血では,歯肉出血2例,鼻出血2例,皮下出血,血痰がそれぞれ1例であった.
【結語】肝硬変合併門脈血栓症に対するedoxaban単剤による治療効果は良好であるが,出血などに留意する必要がある.