2025 年 31 巻 4 号 p. 266-270
悪性腫瘍に対する集学的治療を実施する上で,脾機能亢進症や門脈圧亢進症に起因する血小板減少は治療継続を妨げる要因となりうる.我々は,脾機能亢進症を合併した悪性腫瘍症例に対し,腹腔鏡下脾摘術を実施した3例を経験した.いずれの症例も術後に有益な血小板増加が得られ,その後の治療継続が可能となり,予後の改善が得られた.また,術前血小板予測式に基づき適切な症例選択を行うことで,周術期合併症も最小限に抑えられた.本報告を通じて,脾摘術が悪性腫瘍治療の「Bridging Therapy」としての外科治療となりえる点,門脈圧亢進症外科医が果たすべき役割の再考が求められる点などを考察する.