日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
門脈-大循環シャント症候群に対するBRTO後に発達した下行結腸静脈瘤に対して再度BRTOを施行した1例
川本 大樹石川 剛桐原 愛果江種 真穂西山 夏子佐々木 嶺西村 達朗佐伯 一成高見 太郎
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2025 年 31 巻 4 号 p. 259-265

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抄録

代謝機能障害関連脂肪肝炎に起因する非代償性肝硬変に対して加療中の70歳代女性.難治性脳症および高度の肝機能障害に対する精査加療目的で当院に紹介となった.ダイナミックCT検査にて巨大下腸間膜静脈-下大静脈シャントが認められ,それに起因する門脈-大循環シャント症候群と診断して,バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)を施行した.脳症や肝予備能は改善したものの,術8か月後のダイナミックCT検査で下行結腸周囲に新たな側副血行路の発達を指摘され,大腸内視鏡検査では同部に一致して全周性に発赤所見を伴う連珠状青色静脈瘤を認めた.内視鏡的治療での制御は困難と判断して再度BRTOを施行し,シャントの血栓化と静脈瘤の消失を得た.その後,部分的脾動脈塞栓術を加えることで,静脈瘤の再発や新規出現さらには胸腹水貯留を生じることなく,肝予備能を維持したまま経過良好である.

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