抄録
地固め法施行後3年以上経過を観察することができた85例の遠隔期成績について検討した.地固め法後の再発率は7%で, 出血再発は認められなかった.一方当科で施行したEIS症例のうち地固め法を施行しなかった例では再発が31%, 出血再発が10%であることから地固め法は再発防止に有効と考えられた.地固め法後の遠隔期において, 治療法と関連した重大合併症は認められなかった.再発例と非再発例につきEUSで検討したところ, 再発例では食道外膜に接するように存在する静脈叢 (peri-esophageal venous plexus) の発達が高度で, 食道壁貫通血管も高頻度に存在し直径2mm以上のものが多かった.このことから地固め法後のEUSによる観察は, 再発予知や追加治療の必要性の把握に有用であった.地固め法後の再発例に対する外来硬化療法は, 安全に施行でき, 翌日から軽労働が可能なことよりQOL向上のための有用な方法と考えられた.