日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
Online ISSN : 2187-1213
Print ISSN : 1341-6375
ISSN-L : 1341-6375
食道・胃静脈瘤硬化療法後遠隔期における管理上の問題点
蜂谷 公敏増田 勝紀大政 良二秋庭 宏紀山本 学千葉井 基泰日野 昌力鈴木 博昭
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 3 巻 2 号 p. 115-118

詳細
抄録
食道・胃静脈瘤治療後遠隔期の問題点として, 静脈瘤の再発, 肝癌合併, 肝性脳症, 肝機能低下や門脈圧亢進胃症 (PHG) などがある.このたびわれわれは, 1%ポリドカノール (AS) を用いた硬化療法が行われた後3年以上生存し, その後経過を十分追えた111例を対象に, 内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 後の内視鏡的経過観察所見から治療が必要と判断した症例を取り上げて分析し, 管理上の問題点を検討した.治療を要した症例とは静脈瘤再発28例, PHG3例, EIS後の瘢痕狭窄2例, 異所性静脈瘤の出現6例 (十二指腸静脈瘤3例, 直腸静脈瘤3例) および新たに発生した消化管癌6例 (食道癌2例, 胃癌3例, 大腸癌1例) であった.初回EIS後3年経過しても複数回の再発を示す症例はすべて肝癌合併あるいは, 飲酒家であり, 再発の予防には, 禁酒の指導と肝癌の早期発見と治療が必要と思われた.また, 患者の延命とともに, 異所性静脈瘤の発生や消化管癌の新生もみられるようになり, これらを念頭においた注意深いフォローアップが重要である.
著者関連情報
© 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top