抄録
食道静脈瘤に対する治療方法として, 直達術と内視鏡的硬化療法がある.これらの治療法の長期予後を検討するために, 治療後3年以上経過した症例を分析した.対象は直達術156例, 硬化療法226例である.検討項目は全体, 治療時期別, Child分類別生存率と基礎疾患の肝硬変, 非肝硬変の予後の比較, 再出血率, 死因について行った.結果は5年累積生存率は直達術61%, 硬化療法44%であり, 治療時期, Child分類別の比較でも両治療法は同じ傾向があり, 予防, 待期が緊急より有意差をもって良好であり, Child分類でもA, BがCに比べて有意に成績が良い.再出血は直達術が26例17%, 硬化療法が25例11%であり, 死因は肝不全, 肝癌, 出血の順で全体の80%を占めていた.今回の検討ではわれわれの成績は食道静脈瘤に関する全国アンケートの結果と非常に類似していた.