日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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長期予後からみた食道静脈瘤に対する直達術と硬化療法の比較検討
萩原 優中野 末広長岡 至朗岡野 亨小森山 広幸山口 晋
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1997 年 3 巻 2 号 p. 123-126

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抄録
食道静脈瘤に対する治療方法として, 直達術と内視鏡的硬化療法がある.これらの治療法の長期予後を検討するために, 治療後3年以上経過した症例を分析した.対象は直達術156例, 硬化療法226例である.検討項目は全体, 治療時期別, Child分類別生存率と基礎疾患の肝硬変, 非肝硬変の予後の比較, 再出血率, 死因について行った.結果は5年累積生存率は直達術61%, 硬化療法44%であり, 治療時期, Child分類別の比較でも両治療法は同じ傾向があり, 予防, 待期が緊急より有意差をもって良好であり, Child分類でもA, BがCに比べて有意に成績が良い.再出血は直達術が26例17%, 硬化療法が25例11%であり, 死因は肝不全, 肝癌, 出血の順で全体の80%を占めていた.今回の検討ではわれわれの成績は食道静脈瘤に関する全国アンケートの結果と非常に類似していた.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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