日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法後遠隔期の問題点
松村 雅彦小泉 雅紀本田 泰啓鶴薗 卓也福井 博
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1997 年 3 巻 2 号 p. 119-121

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抄録
初回内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 後3年以上経過をみた130例を対象とし, EIS後の遠隔期における問題点につき検討した.EISは主としてイオパミドール混和エタノールアミンオレエイトを硬化剤として用い, 透視下で施行した.遠隔期における問題点の一つは再発と出血に関してである.追加治療の累積施行率は3年で45%が10年経過例では83%に達した.また, 累積出血率は3年で19.2%が7年後には50%を越える率となった.遠隔期には, 胃静脈瘤や門脈圧充進性胃症などの胃病変からの出血が増え, 食道静脈瘤からの出血では形態がF1以下のものが多かった.次の問題点は癌の発生である.累積肝癌発生率は3年で16%が6年で31%となり, 門脈腫瘍塞栓のため静脈瘤が急激に増大し破裂を来した症例もみられた.もう一つの問題点は肝障害の進展に関してである.EIs後3年でChild分類が悪化していたのは27.6%であり, 悪化例では出血頻度が高い傾向にあった.また, EIS後血行動態の変化から肝性脳症を繰り返すようになった症例もみられた.
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