日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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胃穹窿部静脈瘤の治療戦略
於保 和彦豊永 純酒井 照博里 雅博中野 良一山脇 眞岩尾 忠谷川 久一
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1997 年 3 巻 2 号 p. 167-170

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抄録
胃穹窿部静脈瘤は大きな門脈-大循環シャントの途中で形成されるという特殊な血行動態のため, その治療にはさまざまな工夫を要する.当科では1989年1月より急性出血例に対しbutyl cyanoacrylate系組織接着剤を第一選択とし, 非常に良好な成績を得ている.しかし, 止血のみでは約30%に再出血を認めることから, 完全消失を目標とした治療が必要である.1992年8月から導入したB-RTOは, 大量の血流を制御できる点で優れており, 現在までに緊急例 (14例), 待期例 (10例) および予防例 (25例) に行い, 静脈瘤の消失率ほぼ100%, 再発再出血なしという極めて良好な成績を得ている.しかし, B-RTO不能例が数例あり, かかる症例では組織接着剤併用内視鏡的硬化療法やHassab術などを選択している.以上, 当科では胃穹窿部静脈瘤に対し組織接着剤で止血し, B-RTOで消失させるという治療戦略をとっている.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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