日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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孤立性胃静脈瘤出血の治療戦略に関する一考察
角谷 宏日野 昌力鈴木 博昭松本 滋
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1997 年 3 巻 2 号 p. 171-174

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抄録
孤立性胃静脈瘤に対する治療戦略について示した、血行動態の把握が重要である.従来経動脈的門脈造影で診断していたが, ある程度の太さの血管の描出には低侵襲な診断法であるMRアンギオグラフィが有用である.治療法では胃腎シャントに代表される, 胃静脈瘤と大循環シャントの明らかな症例には経静脈的塞栓術が有効で中でもカテーテル留置法であるTOPSが有用である.大きな胃静脈瘤でシャントの明らかでない症例に対してはPTPを行い, さらに詳細な血行動態を検討し, 可能ならば引き続きPTOを施行する.それ以外の症例には内視鏡的硬化療法で安全に治療可能である.一方, 緊急例に対してはまず直視下に出血点を確認しシアノアクリレート系薬剤原液を注入する.確実な止血が得られた後治療戦略を立てるべきである.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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