抄録
食道, 胃静脈瘤に対する治療法の選択について以下の検討を行った.対象および方法 : 1982年11月より1995年12月まで内視鏡的硬化療法 (EIS) 施行1435例のうち, 1カ月以内に食道静脈瘤が完全消失した128例 (早期消失例) と, 治療に2カ月以上要した41例 (難治例) に分類し, 胃静脈瘤に対するEIS症例115例のうち消失しえた99例 (硬化療法群) と, Hassab手術を付加した16例 (硬化療法+手術群) に分類した.各々肝機能, 血管造影所見等について比較検討した.成績 : 難治例のICGR15, 再出血率は早期消失例に比べて高値であった.硬化療法+手術群のICGR15は硬化療法群に比べて高値であったが, 再出血は認めなかった.門脈造影では食道静脈瘤患者の難治例, 胃静脈瘤患者の硬化療法+手術群で頭側側副血行路の発達や巨大シャントが著明であった.結語 : 肝機能不良例および巨大なシャントを持つ症例では難治となる可能性が高いため, 手術, 経皮経肝食道静脈瘤塞栓術, バルーン下逆行性経静脈的塞栓術などの併用を考慮するべきである.