日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
Online ISSN : 2187-1213
Print ISSN : 1341-6375
ISSN-L : 1341-6375
食道・胃静脈瘤に対するHassab手術とEIS併用療法の成績と問題点
深澤 正樹太田 秀次郎大橋 薫大浦 慎祐中西 亮児島 邦明別府 倫兄二川 俊二
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 3 巻 2 号 p. 179-184

詳細
抄録
教室では食道・胃静脈瘤に対して経胸食道離断術を中心とした直達手術を第一選択とし, 静脈瘤に対しては良好な成績を得てきたが, 重症肝障害例や緊急出血例での浸襲の大きさは長年にわたる課題であった.しかし近年EISの発達によって, 治療法の選択の幅が拡大し, とくに静脈瘤に対する効果は食道離断術より小さいものの, より侵襲の少ないHassab手術の重要性が増している.今回この術式の静脈瘤に対する効果の不十分さをEISによって補うcombined therapyとしてEIS後12カ月以内にHassab手術を行った26例と, Hassab手術後6カ月以内にEISを追加した12例について検討した.その結果両群ともに手術死亡は1例もなく, 静脈瘤の遺残・再発は両群で7例みられたが破裂出血は1例のみで, いずれも1クールのEIS追加で消失し, 良好な成績を得た.本法は食道離断術の困難なChild B程度の肝障害例や緊急出血例, 静脈瘤合併肝癌の肝切除時の付加手術などを中心に積極的に試みてよい治療法と考えられた.
著者関連情報
© 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top