日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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食道静脈瘤に対する直達手術の門脈系血行動態への影響に関する臨床研究
萩原 優小森山 広幸田中 一郎中野 末広生沢 啓芳金杉 和男長岡 至朗岡野 亨山口 晋
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1998 年 4 巻 3 号 p. 280-283

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抄録
直達手術を施行した6症例 (Hassab手術5例, 経腹的食道離断術1例) で, 術中の動脈圧, 門脈圧を経時的にモニターした.また, 超音波トランジットタイム血流計により左胃静脈と短胃静脈の血流量の変化を計測した.一部の症例ではMR portographyにより手術前後で門脈血流量を測定した.結果は1) 動脈圧と門脈圧は直線的な正の相関がみられた.2) 脾摘に門脈圧は大部分で下降したが, 血行遮断後には術前より上昇した例と下降した例がみられた.3) 左胃静脈と短胃静脈の血流の変化は, 脾動脈結紮により左胃静脈の血流量は減少した.その理由としては門脈本幹の血流量が減り二次的に左胃静脈の血流も減少した結果であり, 遠肝性の側副血行路と考えられた.4) 直達手術前後における門脈圧と門脈血流量の変化をみると, 直達手術前後で門脈圧は変化しなかったが, 門脈血流量は80%以下に下降した.このことは門脈圧の血行動態を考える上で興味深い所見である.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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