抄録
部分脾動脈塞栓術 (PSE) 後の肝脾相関につき肝の病態変動を血行動態, アシアロシンチ (GSA), サイトカインにより検討した.対象は肝硬変症17例.PSE前後にUSドプラ法にて脾静脈, 門脈本幹の門脈血流量とGSA活性についてLHL/HH, Rmax, SPECTによる肝容積, 肝血流量の各受容体指標とICGR15およびhuman hepatocyte growth factor (HGF) とtransforming growth factor-β1 (TGF-β1) を測定した.PSE施行後, 門脈血流量は脾静脈, 門脈本幹とも有意に低下したが, ICGには変動はなく, またGSAはLHL/HHとRmaxは3日後の早期に有意に改善したが, 30日後の後期には前値に復した.肝容積と肝血流量には有意な変動は認められなかった.HGFはPSE後1~3日後の早期に有意に上昇し, TGF-β1はHGFに遅れて14日後に上昇した.以上よりPSE後に門脈血流は低下し, GSA活性はHGFに相応し早期に上昇し, 後期にはTGF-β1に相応し抑制されたが, 肝容積, 肝血流には変化がなかった.PSEは, 肝血流, 肝容積とは別に肝の機能的変動を生じさせると考えられた.