抄録
症例は60歳代男性のアルコール性肝硬変症例で, 食道静脈瘤精査治療目的で当院を紹介された.入院後の肝精査にてS2, S3に肝細胞癌を認め肝動脈化学塞栓療法とラジオ波熱凝固療法にて治療した.上部消化管内視鏡検査では食道胃粘膜接合部には拡張した血管を認めなかったが, 食道胃粘膜接合部より2cm口側の下部食道壁に突然太い巨木状の静脈瘤が出現し, 中部食道まで静脈瘤を認めた (LmF2CbRC2 (RWM)).超音波内視鏡検査では静脈瘤が径4mmの貫通血管を介して並走傍食道静脈と連続していることが判明した.内視鏡的静脈瘤結紮術による貫通血管部位の狙撃結紮により, 血流を食道外血管へ向かわせる血行改変術が可能であると思われた.超音波内視鏡検査にて貫通血管が下部食道壁を貫いて静脈瘤に流入する部位を同定し, 内視鏡的静脈瘤結紮術にて狙撃結紮した.合併症なく安全に施行でき静脈瘤を消失させることができた.