日本門脈圧亢進症学会雑誌
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食道静脈瘤硬化療法後に発症した多発性脳出血の1例
平川 一秀竹内 雅春王 孔志城 大介近藤 祐一藤元 治朗
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2005 年 11 巻 4 号 p. 335-339

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抄録
症例は64歳女性.食道静脈瘤に対して他院で食道離断術を受けたが, 遺残再発のため当科に紹介された.食道静脈瘤は離断後にもかかわらずLsF3CbRC1であり, 治療前CTでは中部食道に壁外シャントも疑われたため, 内視鏡装着バルーンを2個装着しethanolamine oleate (EO) で硬化療法を施行した.食道壁外へ硬化剤がわずかに流出したが, 治療前CTで診断した供血路を塞栓することができた.治療終了後心窩部痛と頭痛が出現し, 一過性の高血圧が持続した.治療直後麻痺症状は認めなかったが, 4時間後意識レベルの低下, 対光反射の鈍化および左片麻痺が認められた.頭部CTで多発性脳出血を認め緊急手術を施行したが, 6日目に死亡した.硬化療法後の脳出血は1例の報告のみである.脳出血の原因は明らかではないが, 一過性高血圧の関連も考慮し治療に伴う合併症として念頭に入れるべきである.
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