日本門脈圧亢進症学会雑誌
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門脈肺静脈シャント併存難性食道胃静脈瘤に対し経腹的食道離断術を施行した1例
柿沼 大輔吉田 寛真々田 裕宏谷合 信彦川野 陽一水口 義昭清水 哲也高橋 翼石川 義典神田 知洋秋丸 琥甫田尻 孝村島 直哉
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2005 年 11 巻 4 号 p. 340-343

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抄録
保存的治療が不能であった食道胃静脈瘤に対し経腹的食道離断術を施行した1例を経験した.症例は48歳男性.C型, アルコール性肝硬変にて近医経過観察中2度の食道静脈瘤破裂に対し, 内視鏡的静脈瘤結紮術 (Endoscopic variceal Iigation 以下EVL) および内視鏡的硬化療法 (Endoscopic injection sclerotherapy 以下EIS) の施行歴がある.最後の内視鏡治療の2年後, 食道胃静脈瘤を認め再度近医入院するも, 3 dimension computed tomography (以下3D-CT) にて蛇行拡張した左胃静脈と, 左肺静脈へのシャントも認めたため, 内視鏡的, Interventional radiology (以下IVR) 的治療困難と判断され, 外科的治療目的で当科紹介となった.肝予備能は保たれていたことから経腹的食道離断術を施行し, 術後経過問題なく退院.術後の3D-CTでは左胃静脈は描出されず, 内視鏡的にも胃食道静脈瘤の改善を認めた.内視鏡的, IVR的治療が普及した現在ではこのような難治性食道胃静脈瘤に対する手術適応は狭められているが, 本症例のように肝機能が保たれている特異シャントの場合には未だその意義は大きいと考えられた.
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