日本門脈圧亢進症学会雑誌
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慢性に経過する門脈血栓症に対する抗凝固・血栓溶解療法
澤田 晋山田 雅哉安田 宏平田 邦代遠藤 豊井上 和明与芝 真彰
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2008 年 14 巻 4 号 p. 297-300

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抄録

発症時期が不明で, 慢性に経過していた門脈血栓症に対して抗凝固・血栓溶解療法を行った.まず最初にアンチトロンビンIII (以下AT III) やダナパロイドナトリウムを使用し, その後ワーファリンを投与した症例が2例, 最初からワーファリンのみ投与した症例が4例の計6症例.AT IIIやダナパロイドナトリウムを使用した症例では治療中の門脈血栓の縮小は得られなかった.だが, ダナパロイドナトリウム投与後にワーファリン投与していた1症例にて, 門脈血栓の縮小を5カ月後に認めた.またワーファリンのみ投与した1症例で門脈血栓の縮小を11カ月後に認めた.ワーファリン投与により6症例中2例 (33%) に改善を認めた.治療効果は決して高くなく, 長期の投与を必要とするが, 外来で施行可能, 安価であり, 慢性に経過する門脈血栓症の初期治療として試みてよい治療の一つと思われる.

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