日本門脈圧亢進症学会雑誌
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難治性腹水に対する腹腔-鎖骨下静脈シャント術の経験
真々田 裕宏恩田 昌彦田尻 孝秋丸 琥甫梅原 松臣吉田 寛谷合 信彦金子 昌裕吉岡 正人峯田 章平方 敦史寺田 淑恵山下 精彦荒牧 琢巳小林 正文金沢 秀典
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2000 年 6 巻 1 号 p. 21-25

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抄録
肝癌合併肝硬変症例における難治性腹水に対し, 腹腔一鎖骨下静脈シャント術 (Denverシャント) を施行し, その臨床経過について検討した.対象は, 1998年1月以降Denverシャントを施行した肝癌合併肝硬変症例8例.男性7例, 女性1例, 平均年齢63.4歳 (53歳-81歳).局所麻酔下に腹腔-皮下トンネル-右鎖骨下静脈ルートでシャント術を施行した.術後全例に腹部膨満感の消失, 腹囲の減少, 尿量の増加, 腎機能の改善を認めた.また重篤な凝固障害は認められなかった.予後をみると7例が死亡し, 平均生存期間は4.1カ月で, 現在まで最長14カ月の生存が得られている.Denverシャントは予後を左右することはないが, 侵襲が比較的少なく, 腹水のコントロールに難渋する肝癌合併肝硬変症例に対してQOLの向上に有用であった.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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