日本門脈圧亢進症学会雑誌
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門脈圧亢進症例に併発する十二指腸びらんの臨床的検討
首藤 龍人矢崎 康幸桜井 忍上西 博山田 裕人菅原 謙二
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2000 年 6 巻 4 号 p. 232-237

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抄録
胃・食道静脈瘤に対して内視鏡的治療を施行した418例中45例 (10.8%) に特異な十二指腸びらんを認めた.十二指腸炎として日常散見される病変は, 球部を中心として斑状に小びらんが観察されることが多いが, 門脈圧亢進症例に観察される十二指腸びらんは, ケルクリングひだに沿って輪状に配列する傾向をもっていた.超音波内視鏡所見としては, 十二指腸壁の浮腫, 十二指腸壁内および壁周囲の管腔構造の増生が観察された.組織学的には粘膜層および粘膜下層の浮腫と血管拡張を特徴としていた.このような特徴的な十二指腸びらんをもたらす要因として, 門脈圧充進状態による血流のうっ滞からくる粘膜抵抗の減弱が関与しているものと推察している.門脈圧充進症例にみられる特異な十二指腸びらんはportal hypertensive duodenopathyの一つと考えられる.
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