日本門脈圧亢進症学会雑誌
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高度食道静脈瘤に対する予防的硬化療法の無作為比較臨床試験
萩原 優二川 俊二鈴木 博昭高瀬 靖広幕内 博康小原 勝敏北野 正剛三條 健昌三好 博文村島 直哉米島 学國分 茂博木内 貴弘出月 康夫
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2001 年 7 巻 3 号 p. 140-145

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抄録
日本門脈圧尤進症学会では高度食道静脈瘤に対する予防的内視鏡的硬化療法が静脈瘤出血と生命予後にどのように影響するかを調べる目的で肝硬変合併高度食道静脈瘤症例にprospective randomized control studyを施行した.登録期間は1993年8月1日より1997年6月30日までとし, 合計39例 (対照群39例, 治療群40例) が登録され, 最低42カ月の観察期間を置いた.結果は静脈瘤出血が対照群では10例, 治療群では3例であった.Kaplan-Meier法による非出血率は対照群68%, 治療群92%であったが, 統計学的な有意差はなかった (p = 0.057).出血死は両群共に2例であった.5年累積生存率をKaplan-Meier法で検討すると対照群58%, 治療群61%でやはり有意差はなかった (p = 0.61).今回の結論は食道静脈瘤に対する硬化療法は静脈瘤出血に対しては予防効果があるが統計学的には有意差がなく, 予防的硬化療法の食道静脈瘤に対する臨床的意義は見出せなかった.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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