日本門脈圧亢進症学会雑誌
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アンギオテンシンII受容体拮抗剤 (カンデサルタンシレキセチル) が肝硬変症の門脈血流に及ぼす影響
伊藤 都藤井 真理中野 茂片桐 正人蜂矢 朗彦三木 一正
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2001 年 7 巻 3 号 p. 135-139

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抄録
肝類洞の微小循環の調節にアンギオテンシンIIが関与し, その拮抗剤を肝硬変患者に投与すると門脈圧が降下したと報告されている.そこで, われわれは12例の門脈圧充進症を伴う肝硬変患者にカンデサルタンシレキセチル4mg/日を経口投与し, 超音波パルスドプラ法で門脈血流の変化を検討した.カンデサルタン投与2週間後, 前値と比べて門脈最大血流速度は16.7±5.6から22.9±6.7cm/sへ増加し (p<0.05), 門脈血流も約15%増加した.また, うっ血係数は0.094 ± 0.038から0.063±0.033cm・sへ低下した (p<0.05).血清アンモニア値, ICGR15, 値も投与後それぞれ有意に低下した (p<0.05).以上の結果より, カンデサルタン投与で肝類洞抵抗が低下し, 門脈流入血流量が増加したと考えられた.このため, 側副血行路の血流低下や肝機能の改善が期待できると示唆された.
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