日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
門脈圧亢進性胃症の臨床的背景因子の検討
中野 一永太田 秀二郎児島 邦明深澤 正樹別府 倫兄二川 俊二
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 7 巻 3 号 p. 146-151

詳細
抄録
門脈圧亢進性胃症 (PHG) の背景因子について, 門脈圧亢進症の基礎疾患, 静脈瘤の程度, 門脈血行動態, また各種静脈瘤治療前後の状態について検討を加えた.PHGは門脈圧亢進症380例中, 208例 (54.7%) に認められ, 肝外門脈閉塞症例, Child C群, 短絡路がない症例や左胃静脈が遠肝性, 両方向性血流方向の症例などで高頻度であった.また部位別にみると胃静脈瘤単独の症例で多くみられ, 食道静脈瘤では形態が高度になるとsevere PHGの出現率も多い傾向がみられた.一方, 食道静脈瘤の治療前後で検討すると, EISよりも直達手術後にPHGが改善する傾向がみられた.以上の結果から門脈圧亢進に起因する胃粘膜のうっ血がPHGの発生や進行に深く関与している可能性が示唆された.したがって治療に関しては血行動態を検討し, 胃粘膜に及ぼす影響にも配慮して治療法を選択する必要があると考えられた.
著者関連情報
© 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top