日本門脈圧亢進症学会雑誌
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稀な側副血行路の描出に3D-CTが有用であった肝性脳症合併C型肝硬変の一例
石川 晶久西田 均柳川 達郎塙 勝博柴田 実三田村 圭二
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2002 年 8 巻 2 号 p. 100-104

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抄録
門脈側副血行路の診断は血管造影などの侵襲的な検査によってなされるが, 画像検査の進歩により非侵襲的にも可能となった.今回, 3D-CTが稀な側副血行路の診断に有用であった肝性脳症合併C型肝硬変例を報告する.症例は84歳, 女性.75歳時C型肝硬変と診断され, 84歳時に肝性脳症にて当科入院.肝機能はChild-Pughスコア8点, NH3は222μg/dlと高値であった.3D-CTでは (1) 肝左葉を貫通する肝内門脈枝 (P2) -左下横隔膜静脈-下大静脈, (2) 左胃静脈-食道静脈瘤および (3) 月齊傍静脈の側副血行路が描出された.経動脈性門脈造影でも同様の所見であり, 肝静脈圧較差は17mmHgと高値であった.門脈圧が高値であるため側副血行路塞栓術は施行せず, 内科的治療を行い肝性脳症は改善した.しかし, 以後も肝性脳症を反復し8カ月後に肝不全で死亡した.肝内門脈枝 (P2) が肝外へ連続する側副血行路は稀であり, 3D-CTは非侵襲的な側副血行路の検出法として有用であった.
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