抄録
肝硬変に合併する難治性腹水は予後不良の病態であり, 患者は著しいるい痩に陥り, 時には肝腎症候群の発生を招いて死に至る.LeVeenらは, peritoneovenous (PV) shuntを造設して成果をあげているが, 術直後より出現する重篤な凝固障害 (postshunt coagulopathy;PSC) による死亡例が問題となっている.このPSCは術前に大量のヘパリン加生理食塩水 (ヘパリン5000単位/生理食塩水5l) で腹腔内を洗浄することにより軽減することが可能である.肝移植が一般的でない日本の現状では今後もPV shuntの適応例が存在し, 合併症の改善の工夫が必要である.