抄録
われわれは血小板減少症を有する若年性の特発性門脈圧亢進症や肝硬変合併肝癌症例に部分的脾動脈塞栓術を施行しているが, 脾腫が著明な症例においては目標梗塞率を30-40%に設定した小梗塞法を行っている.われわれが最近経験した5症例における臨床効果と安全性に関して検討したので報告する.血小板数は2週後をピークに増加し, 90日後でも10万 (/mm3) を維持しており長期的に効果が得られた.白血球数やCRPの変動は2週間以内にほぼ正常化し, その他の重篤な合併症を経験しなかった.以上より, 部分的脾動脈塞栓術は巨脾症例でも有効かつ安全に治療できると考えられた.