日本門脈圧亢進症学会雑誌
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食道・胃静脈瘤治療コンセプト
-シャント血行改変を目的とするendoscopic IVR surgery-
近森 文夫国吉 宣俊渋谷 進河島 孝彦高瀬 靖広
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2003 年 9 巻 3 号 p. 184-187

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抄録
われわれはこれまで食道静脈瘤 (EV) に対しては内視鏡的栓塞療法 (EE) を, 孤立性胃静脈瘤 (GV) に対しては経頚静脈的逆行性塞栓術 (TJO) を施行してきた.その目的は生体にとって不利益な出血の原因となるシャント血行を閉じ, 不利益を及ぼさないシャント血行の発達を促すところにある.われわれはその理論的妥当性を, 治療前後の血行動態評価によって証明してきた.治療前後のPTPでみるとEEによりEVとその固有供血路 (左胃静脈噴門枝や噴門静脈叢) は逆行性に閉塞されるが, 食道外のシャント静脈は温存される.一方, GVに対するTJOはGV消失効果に優れるものの長期的にはEVの高率な発生をきたす.TJOは門脈-横隔静脈系から門脈-奇静脈系にシャント血行を改変する治療法といえるが, EEによる補完が前提となる.シャント血行改変に有利に作用する5%EOIの逆行性注入がEVGVに対するendoscopic IVR surgeryの基本である.
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