抄録
本邦において小児科の範囲は15歳(おもに中学生まで)とされ,それ以上の患者は内科の担当となっていた.しかし,思春期および若年成人(15~25歳,あるいはときに35~40歳くらいまで)の世代(Adolescent and young adult世代,AYA世代)は小児科と内科の狭間の世代で,特に血液腫瘍領域では悪性腫瘍の発症率も低い特徴がある.しかし,近年AYA世代は特に急性リンパ性白血病において小児型プロトコールを使用した方が治療成績がよいことが示されている.しかし,さらに最近の報告では,AYA世代は小児に比べて治療関連死亡率が高いことが報告されている.また,造血幹細胞移植においても急性リンパ性白血病,急性骨髄性白血病にて同様な報告が相次いでいる.その理由を明確にした論文は少ないものの,自験例からの検討ではAYA世代において腎機能障害がおきやすいこと,さらに深在性真菌症などの感染症が発症しやすいことが原因である可能性が考えられた.一方で,教育面ではAYA世代の置かれた環境は厳しいものがある.高校で入院しながら教育を受けられる施設は極めて限られている.さらに制度的な問題でもAYA世代において十分に補助がなされておらず,また小児科病棟でAYA世代患者を診療することにも問題点も多い.このような問題点の解決もまたAYA世代の治療成績の向上に寄与すると考えられる.