日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
小児急性リンパ性白血病の維持療法期間におけるメルカプトプリン及びメトトレキサート投与量の推移
~単施設における検討~
歌野 智之田中 庸一木津 純子神谷 尚宏小川 千登世石田 也寸志細谷 亮太真部 淳
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2015 年 52 巻 5 号 p. 399-404

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抄録

【背景】メルカプトプリン(6-MP)及びメトトレキサート(MTX)の臨床効果や副作用は個体差が大きく,個々によって至適投与量は大きく異なる事が知られている.本研究は,両薬剤の投与量推移を調査し,患者背景及び再発との関連性について調査した.【方法】1995年4月~2010年3月の期間に当施設で急性リンパ性白血病(ALL)と診断され,維持療法が終了した患児を対象とした.両薬剤の投与量推移を調査し,投与量推移別に患者背景(性別,診断時:白血球数,年齢,immunophenotype,維持療法開始時:体表面積,Prednisolone反応性,リスク分類,肥満度)を比較した.また,再発患者と非再発患者の6-MP及びMTXの投与量推移を比較した.【結果】維持療法開始1年以内に6-MP投与量の変更を要した患児は50名中34名(増量20名,減量14名),MTX投与量の変更を要した患児は50名中18名(増量3名,減量15名)であった.投与量因子の検討では,6-MP及びMTXの投与量の変更を要した事と患者背景に関連性は認められなかった.また,再発を来した患者7名中4名において維持療法開始6ヶ月以内に50%以上の6-MPの増量が必要であった.【結論】維持療法における6-MP及びMTXの投与量推移は,本研究においても個体差が大きい事が認められた.また,6-MP及びMTX投与量推移と患者背景との関連性は認められなかった.しかしながら,6-MPの維持療法早期の増量と再発は関連する可能性がある.

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© 2015 日本小児血液・がん学会
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