日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
遷延する帽状腱膜下血腫を契機として新生児期に診断に到った重症血友病Aの1例
藤代 定志山添 敬史平林 雅人峰 研治大橋 敦野田 幸弘河崎 裕英金子 一成
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 54 巻 3 号 p. 258-261

詳細
抄録

血友病の多くは自発運動の増える生後6か月以降に持続する出血,血腫などで発見され,新生児期に出血症状から診断されることは少ない.今回,遷延する帽状腱膜下血腫に播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併した血友病Aの新生児症例を経験した.患児は在胎41週2日,出生体重3,066 g,経膣分娩(吸引およびクリステレル児圧出法併用)で仮死なく出生した.帽状腱膜下血腫があり,活気および顔色不良を認めたため当科に搬送された.入院時,帽状腱膜下血腫による貧血に加えDICの可能性を強く疑ったため,濃厚赤血球および新鮮凍結血漿を投与し血液検査所見と血腫は改善した.しかし,血腫の再増悪とAPTTの再延長を認め,凝固VIII因子を測定し重症血友病Aと診断した.以上より,新生児期によく見られる出血であっても遷延する場合には凝固機能検査を行い,PTに比してAPTTの高度の延長を認める場合は血友病を疑うべきであると思われた.

著者関連情報
© 2017 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top