日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
HLA半合致血縁者間骨髄移植後にアシクロビル耐性単純ヘルペスウイルス1型感染症を発症した一例
三上 真充梅田 雄嗣松田 浩一才田 聡平松 英文藤野 寿典山田 壮一柴村 美帆西條 政幸平家 俊男足立 壯一
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2017 年 54 巻 5 号 p. 408-411

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抄録

FLT3-ITD陽性急性骨髄性白血病の14歳女児に対して,骨髄破壊的前処置を用いて父親からHLA半合致骨髄移植を行った.Day 56より重度の歯肉口内炎を合併し,acyclovir(ACV)の予防投与中にも関わらず口唇粘膜および血液より単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が検出された.ACVを増量したが症状の改善は認めなかった.薬剤耐性遺伝子検査ではHSV-1のウイルス性チミジンキナーゼの変異が認められた.また,分離株の薬剤感受性試験でもACV耐性が確認された.そのため,抗ウイルス剤をACVからfoscarnetに変更したところ速やかな症状の改善を認めた.今後HLA不一致移植の普及に伴いACV耐性HSV-1感染症が増加する可能性が高いため,薬剤耐性関連検査の実施体制の構築とACV耐性HSV-1感染症に有効な抗ウイルス剤の保険適応拡大が望まれる.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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