1983年から2014年までに治療を受け,終了から1年以上生存している小児固形腫瘍患者104例(男性61例,女性43例)を対象に内分泌障害の頻度およびリスク因子を後方視的に検討した.初発時および最終観察時の年齢中央値は4歳(0–16歳)および15歳(1–33歳),疾患の内訳は脳腫瘍22例(下垂体浸潤例を除く),脳腫瘍以外の固形腫瘍82例であった.評価可能な104例中48例(46.2%)は少なくとも一つ内分泌障害を合併していた.性腺機能障害は評価可能な72例中33例(45.8%)に認め,高用量cyclophosphamide(7.5 g/m2以上)およびifosfamide(60 g/m2以上),診断時年齢(10歳以上)が独立したリスク因子として挙がった.甲状腺機能障害は評価可能な95例中18例(18.9%)に認め,頭頚部照射が独立したリスク因子として挙がった.成長障害・成長ホルモン分泌不全は評価可能な83例中16例(19.3%)に認めたが,独立したリスク因子は認めなかった.副腎機能障害は全例で認めなかった.疾患群別の検討では骨肉腫やその他の肉腫,神経芽腫で性線機能障害,髄芽腫と頭蓋内胚細胞腫瘍で複数の内分泌障害を合併する傾向を認めた.高用量アルキル化剤や放射線治療を併用する骨軟部腫瘍,脳腫瘍症例では内分泌障害の発症リスクが高く,晩期合併症軽減を目指した治療の改良が必要と考えられた.