日本小児血液・がん学会雑誌
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会長講演
乳児白血病の病態解明と治療研究の変遷
石井 榮一江口 真理子石前 峰斉
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2018 年 55 巻 5 号 p. 345-351

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抄録

MLL遺伝子再構成陽性の乳児急性リンパ性白血病(MLL-r ALL)は予後不良の疾患である.日本では1996年より乳児ALLをMLL遺伝子再構成の有無で層別化し,MLL-r群に対しては化学療法と造血幹細胞移植(HSCT)を併用する治療法を実施した.これまでMLL96,MLL98,MLL03,MLL10研究を経て近くMLL16治療研究が開始される予定であるが,ほとんど生存が得られなかった乳児MLL-r ALLの無イベント生存率は約50%まで改善した.乳児白血病の発症機序については胎生期のMLL再構成が1st hitとなるが,その後に起こる2nd hitについては不明である.我々はMLL-r乳児ALLは,let-7b–MGA2–p16系の破綻により幹細胞の分化が抑制され白血病化が誘導される可能性を明らかにした.このような病態解析により乳児ALLに対して脱メチル化剤などの分子標的薬が有効である可能性がある.一方乳児白血病の発症は1 hitのみで充分だという論文が報告されたが,我々はマウスを用いた実験で乳児白血病発症には何らかの2nd hitが必要であることを明らかにした.今後さらに解析を進めて乳児白血病の発症機序を明らかにし,新たな治療法を開発していく必要がある.

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© 2018 日本小児血液・がん学会
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