日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
造血細胞移植患者の生ワクチン接種後抗体価陽性化に関する免疫学的指標の検討
南條 由佳鈴木 資鈴木 信小沼 正栄佐藤 篤今泉 益栄
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2019 年 56 巻 1 号 p. 32-39

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抄録

造血細胞移植後には,感染予防のために予防接種が推奨されるが,生ワクチンの効果に影響する因子についての報告は少ない.本研究では造血細胞移植後,生ワクチンの接種後に抗体価が測定可能であった12例において,生ワクチン接種時の免疫能,接種後の抗体の有無等について後方視的に検討した.麻疹風疹,水痘,ムンプス各ワクチン1回接種後の抗体価陽性率は麻疹75%,風疹50%,水痘40%,ムンプス18.2%であった.各ワクチン1回接種後に,麻疹,風疹,水痘,ムンプスの4種のうち,4種とも抗体価が陽性になった例はなかった.3種陽性が4例,2種陽性が3例,1種陽性が3例,すべて陰性が2例であった.2種以上が陽性だった群をワクチン高有効率群,1種以下が陽性であった群をワクチン低有効率群とし,ワクチンの効果と関連すると思われる因子について比較したところ,phytohemagglutinin(PHA)リンパ球幼若化試験Stimulation Index(S.I)値がワクチン低有効率群(平均値 415.9±161.7)と比較し,高有効率群(平均値 1314.4±210.3)で有意に高値であった(p=0.028).ワクチン後の抗体獲得にはリンパ球,特にCD4陽性細胞の機能回復が重要であり,PHAリンパ球幼若化試験S.I値が予防接種施行時期を判断する指標の1つとなる可能性が考えられた.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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