2019 年 56 巻 1 号 p. 46-49
再寛解導入療法中に肺動脈血栓症(PTE)を発症したB-前駆細胞性急性リンパ性白血病の3歳男児を経験した.寛解導入療法直前に末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC)を挿入し,以後約6か月間使用していた.PTE発症前にD-ダイマー上昇とカテーテル閉塞徴候が認められていた.未分画ヘパリン持続点滴後にPICCを抜去し,ワーファリンによる抗凝固療法を行ったところ,2週後に臨床症状は改善した.ワーファリンを継続しながら2回目の再寛解導入療法前にPICCを再挿入したが,血栓症の再燃は認めず,予定の化学療法を継続しえた.本症例のPTEはカテーテル関連血栓症と考えられた.
PICCは従来の中心静脈カテーテルと比較して血栓症の頻度が高いとされるため,カテーテルの選択や留置位置,留置が長期化する場合の管理に細心の注意を払うことが重要である.