日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
両親の輸血拒否に対して児童相談所の支援により治療を行った神経芽腫例
加藤 正也佐藤 雄也中山 幸量奥谷 真由子福島 啓太郎黒澤 秀光吉原 重美
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2019 年 56 巻 1 号 p. 50-52

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抄録

高リスク群の神経芽腫の治療において輸血は重要な補助療法である.小児領域で輸血を行うためには親権者から承諾を得る必要があるが,宗教的な理由で拒否した場合は親権停止の申立を考慮する必要がある.しかし,この行為は親権者と医療従事者との関係を悪くさせる可能性があり,神経芽腫の児の治療にとって望ましくない環境である.

高リスク群の神経芽腫である18か月男児が入院した.両親は宗教的な理由で児への輸血を拒否した.医療ソーシャルワーカー(SW),児童相談所と連携し患児を一時保護で入院させた.輸血同意書を含めた全ての承諾書は児童相談所長がサインすることで両親から加療をする承諾を得た.親権停止の手続きは行わず,医療者と両親間のトラブルもなく予定通りの加療を行った.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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